Metro Redux(メトロ リダックス) レビュー
Metro Redux(メトロ リダックス)はウクライナ創業(現在はマルタ共和国に移っている)のデベロッパー4A Games開発のシングル・ファースト・シューティングゲームである。
このゲームは2010年に発売されたメトロ2033とその後2013年に発売されたメトロ ラストライトを1本にまとめたものである。
このゲームでは核戦争が起きた後の近未来のロシア、タイトルにもなっているメトロ(地下鉄)で人びとが身を寄せ合いどうにか生き残っているという世界が舞台となっている。
いわゆるポストアポカリプスと呼ばれるジャンルだ。
プレイヤーはこの世界で生きる青年アルチョムを操作して、この世界の人類の滅亡を阻止するために、盗賊・ナチス・共産主義者らが巣くうメトロや自然豊かだが汚染された地上を旅することになる。
なお、私は旧二作はプレイしてはおらず、リダックス版のみをプレイしてこの文章を書いているのでそこは念頭に入れて読んでほしい。
今作で最大の目玉と言っていい、あるいは私が勝手にそう思っているのは画期的な通貨システムだ。
今作メトロの世界では、戦前の貨幣は価値を失って軍が残した軍用の弾薬が通貨として用いられている。
よってPCもゲーム内で買い物をする際にはこの軍用弾を使うわけだが、なんとこの軍用弾は、弾薬であるがゆえにもちろん発射することもできるのだ。
弾薬として使用した場合の特徴は通常弾と比べて高いその威力にある。
今作に出てくるミュータントは敵としては割と硬めで、序盤から出てくるような雑魚でも通常弾では何発も撃ち込まなければ倒すことができない。
しかもそんなミュータント共が多数でラッシュをしかけてくることが多く、戦闘は修羅場を極める。
しかし、高威力な軍用弾を使用すればそんなミュータント一匹一匹を倒す時間を縮めることができる。
縮めた時間でプレイヤーはリロードをする、回復アイテムを使う、さらに敵を殺すといったさらなる判断をする余裕も生まれ戦闘をよりスムーズに進めることができるだろう。
だがしかし、前述したようにこの軍用弾は通貨でもある。
PCは物語の合間には多数の人がくらす地下鉄の駅内にある取引所などに立ち寄ることがある。
そういった場所では使った弾薬を補給したり、新たな武器を購入したり、すでに持っている武器を改造することができる。
だがこれにはもちろん通貨となる軍用弾がそれなりにかかる。
兵器として弾薬を使うか通貨として使うのか、プレイヤーは選択を迫られるのである。
これは世界観とも結びついた素晴らしいシステムだと思う。
ちなみに今作の武器のカスタマイズはバリエーション豊かとは言えないが個人的にとても楽しかった。
用意されている銃器のデザインはどれも世界観にマッチしたクールなものだったし、限られた軍用弾で武器のMODを購入して銃を自分好みに改造することができると幸福を感じた。
銃を手に持った状態で操作をせず放置しているとPCが銃をいじって遊
び出すという要素もあったりする。
今作で敵がいる地域を先に進むのにとれるアプローチは大きく分けて正面突破とステルスの二つである。
正面突破の方が難しくなるので自然と多くのプレイヤーはまずステルスを選択するだろう。
しかしこれがなかなかに難しいのである。
一人の敵に気がつかれるとどんなに素早く倒しても周囲にいる全ての敵に気がつかれたことになってしまったり、近年のステルスゲーではお馴染みになったと思うマークした敵の位置を障害物ごしに確認できる機能などのプレイヤーに有利なギミックもこのゲームにはあまりなかったりする。
だが気づかれずに敵を排除するための手段はかなり多く用意されている。
背後から近づいてのテイクダウンはもちろん、投げナイフやクロスボウ、蒸気銃を用いれば音もなく敵を全滅させることも可能だ。
正面突破のアプローチを選ぶ場合、もちろんミュータントや敵との戦闘が発生するが正直いってこれは大味だ。
今作の戦闘システムはオーソドックスなシューターだ。
人間なら物陰に隠れて撃ってくるかミュータントなら真正面から突っ込んでくるかの違いはあれど同じように弾丸を叩き込めばいい。
スキルの高いプレイヤーがプレイするなら別なのかもしれないが、筆者がプレイした限りだと戦術的な判断の余地は武器の選択や前述した軍用弾の使用の有無くらいひか感じられなかった。
このゲームは雰囲気を醸し出すことについてかなり力を入れている。
省略化されたUIなどもそれにあたるが、まず例としてガスマスクの扱いについて書こう。
このゲームの世界の大気は放射能で汚染されており、PCが地上を探索する際には人体を放射能から守るガスマスクをプレイヤーは手動で操作して身につけなければならない。
また、このマスクは戦闘中に血糊がつくなどの理由で汚れることもあり、その場合にはわざわざ汚れを拭う操作が用意されている。
これらの一見無意味な操作が、ゲームプレイを通じるとなかなか没入感を生み出しているのである。
他にも、PCが進むことになる地下鉄や廃墟には蜘蛛が巣を張っていることがあり、そのまま進もうとすると蜘蛛の巣がからみついて動きが遅くなってしまう。
しかしPCが常に持ち歩いているライター(ライフルの弾を改造したものである)で火をつけると蜘蛛の巣を燃やしてスムーズに先へ進むことができる。
こういった、プレイヤーに不便を強いてでも雰囲気を味わわせようとする試みは賛否が別れやすいが、このゲームでのそれは有効に働いていると思う。
このゲームで悪い部分が出てしまっているとすれば、それは道の迷いやすさだ。
このゲームのマップはとにかくどこから先へ進んだらいいのかがわかりづらい。
ヒントとなるのは目的地を示す粗末なコンパスとやるべきことが簡潔に書かれたクリップボードだけで、筆者は何度も同じ場所を行ったり来たりさせられた。
総括
このゲームはおせじにも大作といえる部類のゲームではない。かなり荒削りな部分も多くある。しかし、プレイヤーに対して演出したい世界観があり、そのために並々ならぬ努力をしているのは感じられた。
なお、「Metro」シリーズは現在続編の「Metro Exodus」が開発中であり海外では2019年2月22日に発売を予定している。
公開されているトレイラーを観た限り前作までの要素を高度にパワーアップさせたものになっていそうでとても楽しみだ。
頼むから日本でも発売してほしい。
ここから先は完全な余談であるが、筆者は現在うつ病を患っており無職です。
思いつきでゲームレビューを書いてみたのですが新しくゲームを買うお金はありません。
下にAmazonのほしいものリストへのリンクを張っておくので、この記事を読んで筆者を支援したいなと思っていただけたら何かを送ってくれるととてもうれしいです。
よろしくお願いします。